夏場のランニング

ランニング知識

夏場のランニングに関する知識と注意点をまとめました。

はじめに

最高気温が30℃以上の日を「真夏日」35℃以上の日を「猛暑日」といいます。
日本体育協会の指針では、気温が31℃以上(真夏日と考えておきましょう)になると激しい運動は中止、35℃以上では運動は原則中止としています。

もちろん天気予報で1℃の差を気にしてみても、実際に走る場所・環境・時間帯によって予報通りにはいかないですし、湿度や直射日光の有無によっても体感は大きく変わります。
また、暑さに強い・弱いという個人差も影響します。

正しい知識を身に付けて、かつそれを信じすぎず自身の身体と相談しながら感覚を身に付けていくことが大切です。

一般的に夏場のジョギングで注意することは下記の通りです。

  • こまめな給水と塩分補給を行う
  • 直射日光を避ける(早朝・日没後、日陰の多いコース選択)
  • 湿度にも注意する
  • 暑さには徐々に身体を慣らしていくこと
  • 涼しい時と同じ感覚で距離とペースを決めない(体調を見て臨機応変に)
  • 日焼け対策を忘れずに
  • 不調を感じたらすぐに休むこと

以下、少し細かい知識をまとめておきます。

暑さに慣れる

暑さに慣れることを「暑熱順化」といいます。

暑熱順化が完成すると下記のような状態になります
①発汗量が増える
②汗に含まれる塩分濃度が低下する
③皮膚血管が拡張して循環血液量の増加する

一般の方で1~2週間、アスリートだと5日間くらいで暑熱順化が完成するようです。
一般の方の1~2週間というのは、週に3~4回は汗をかき続けるような運動を2週間程度と考えればよいようです。
また何もしなければ2週間ほどで元の状態に戻るといわれています。

夏場のジョギングはしっかりと身体を慣らしてから行いましょう。
(春から継続的に走っている方は自然に順化していきます。)

水分補給・塩分補給についての基礎知識

暗記は必要ありませんが、誤解しているポイントがないか見ておきましょう。
またこれらを知ることで、自分なりの給水の仕方を考えることが重要です

(運動と関係なく)日常生活で、人間が1日に必要とする水分量は「2.5L」、食事でも水を補えるため、意識して飲まなければならない水の量は「1.5L程度」と考えられています。

日常生活からこまめに水分を摂取する習慣をつけましょう。夏場の運動の前に身体に十分な水を蓄えておくことが重要です。尿の色が濃い場合は水分摂取が不足気味になっていると考えれます。
このように身体に水分を蓄えておくことをウォーターローディングといいます。

体内から5%(体重50㎏の人で2.5L)水分を失うと脱水症状や熱中症を引き起こし、10%失った場合は筋肉の痙攣や循環不全などが起こり、20%失うと生命の危険があります。

走る前と後で体重をチェックするのは重要ですが、これはダイエット目的ではありません。
減った体重はほぼ水分が抜けた分と考えて間違いありませんので、どの程度の水分が抜けたか見ておきましょう。さらに長距離走る時の参考になります。

汗の塩分濃度はおよそ0.3%、これは1Lの汗に対して3gという計算になります。

食品に含まれる塩分量

  • ラーメン1杯 …6~7g
  • うめぼし1粒(10g程度)…2g前後
  • 塩タブレット一粒 …約0.1g(カバヤ食品塩分チャージタブレッツ)
  • しょうゆ 大さじ1 …3g
  • みそ 大さじ1 …2g

スポーツドリンクの塩分量は100mlあたり約0.1gです(ポカリスエット0.12g、アクエリアス0.08g)。1L換算で約1g、汗の3分の1の量です。
糖分はというとポカリスエット100mlあたり6.7g(26.8Kcal)、アクエリアス4.7g(18.8Kcal)、1l換算では大さじ5~6杯程度になります。
なお、ポカリスエットで言うと、糖分=砂糖、果糖ブドウ糖液糖 という表記になっています。

経口補水液の塩分量は100mlあたり約0.2~0.3g、1L換算で2~3g程度です。
汗の塩分濃度(1Lあたり3g)と近い値になっています。
糖分については100mlあたりブドウ糖1.8g(OS-1の値)を含んでいます。

糖分について ※クリックして表示

ブドウ糖には腸管内で塩分(ナトリウム)があると速やかに吸収され、同時に水分吸収を促進する効果があるといわれています。その後血液中に入り、全身の細胞でエネルギーとして利用されます。
つまり水分・塩分補給において、糖分は無意味ではありません。

ただし糖にも様々な種類があり、吸収のされ方などの違いがありますが、即効性のあるエネルギー源になること、とりすぎると中性脂肪になることを覚えておきましょう。

1日に3リットル以上の水分を摂取するか、短時間に1リットル以上の水を飲んだ場合水中毒(低ナトリウム血症)を引き起こすとされています。

低ナトリウム血症(水中毒)とは ※クリックして表示

大量の水分摂取などによって血液が希釈されてナトリウムの濃度が低下することで起こる症状。
誤った知識に基づくダイエットや、大量の水分補給をするときに注意する必要がある。
1時間あたり1リットル程度の水分摂取(食物中の水分も含む)ならば、代謝や腎機能に疾患がなければ、1時間でほぼ全量が排尿される(毎分16mlが最大利尿速度といわれる)ため、水中毒になることはまずない。

主な症状(下に行くほど重度)
・135~145mEq/L 基準値
・130 軽度の疲労感
・120 頭痛、嘔吐、精神症状
・110 性格変化や痙攣、昏睡
・100 神経の伝達が阻害され呼吸困難などで死亡

個人的な感覚でお伝えします。
まず水を一気に500ml以上飲みたくなった場合(飲んでもまだのどが渇く場合)、すでに脱水症状に陥っていると思い、対処しましょう。

症状では「軽度の疲労感」の段階で、いつもと違うな、と気づけるようになるべきです。それ以上がんばってもパフォーマンスは落ちるばかりですし、深刻なダメージに至る可能性があります。初心者の方はその見極めが難しいと思いますので、とにかく無理しないようにしましょう。


私は暑さには弱い自覚があり、夏場はすぐバテますが、ランニング中に嘔吐したことは一度もありませんし、頭痛すら記憶にありません。

カロリーについての補足

夏場のランニングと直接関係はありませんが、流れで少し補足しておきます。

30分のジョギングで消費するカロリーは200Kcal程度(体重50㎏の場合・走り方にもよる)
フルマラソンで消費するカロリーは2,000~3,000Kcalといわれています。

炭水化物を消化してできた糖質エネルギーは、肝臓・筋肉に「グリコーゲン」として最大で2,000Kcal程度貯蔵できるといわれています。

フルマラソンなどの場合は後半に、貯蔵しているグリコーゲンが枯渇しないように、前半から定期的にエネルギーを摂取して走ります。
一方1時間程度のジョギングでは貯蔵しているグリコーゲンで十分足りますので、エネルギー補給を考える必要はないでしょう。むしろダイエット目的の初心者の方は、カロリーオーバーにならないよう注意してください。

ランニングが長く習慣化している方は、筋肉量が多く代謝が活発な身体になっている場合が多く、少々のカロリーオーバーで体重増加を心配する人は少ないと思います。

水分補給・塩分補給のまとめ

基本的には上記の「水分補給・塩分補給の基礎知識」を確認して、ご自身で水分補給の計画を立てて運動を行ってください。
そのうえで個人的な見解を述べます。

まず、これからジョギングを始める初心者の方は、15分~30分のジョギングで、塩分補給や糖分補給のためスポーツドリンクを飲んだりする必要はありません。
個人的には1時間少々のジョギングで500mlボトル×2くらいまでは水だけで問題ないと考えています。
ただし水は一口ずつくらいのイメージで、最初から定期的に飲む習慣をつけましょう


一般的に塩分も糖分も摂りすぎの方が多いと思いますので、ジョギング後おいしく晩ご飯を食べれば補給できるため問題ありません。

注意が必要なのは夏場の2時間以上長距離走です。
スポーツドリンクばかり飲んでいると、糖分過多に対して塩分は発汗量よりも摂取が少ない状態になっていきます。

私は2Lくらい水分を摂取する(と想定される)場合、経口補水液パウダーを使って経口補水液を作って摂取するようにしています。

大会などではエイドステーションで梅干しを用意してくれていることが多いので、これで塩分を摂取しています。塩タブレットはおやつ程度の認識であまり手にしません。
※スポーツ用品店で売っている塩を濃縮した塩タブレットは別です

大会中に500ml近い量の水を短時間に飲み干してしまった場合は、おそらく脱水症状になっていると判断します。
また大会後しばらくおしっこが出ない、だいぶ後になって濃い色のおしっこが出る、などは脱水症状だったと判断できます。

熱中症について

熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態です。

症状
第一段階:めまい、足がつる、大量発汗、筋肉痛
第二段階:頭痛、嘔吐、倦怠感・虚脱感
第三段階:痙攣・意識障害

対処方法
涼しい場所に避難して身体(首筋・わきの下・太もも内側の付け根)を冷やす
経口補水液等で水分補給をする
※呼びかけに応答がない場合など重度の場合は救急車を呼びましょう

熱中症と脱水症状は別の症状ですが、多くの場合併発していて明確には分けにくいかもしれません。とにかく異常を感じたら早めに休息・対処するようにしましょう。

その他の知識

コンビニ自販機を活用しましょう。

長距離走の途中でも冷たい飲み物が手に入り、しばらく身体を冷やすこともできます。
もちろんコンビニで涼むことも可能。しっかり休憩しましょう。
逆にコンビニも自販機もないコースの場合は注意が必要です。飲料水はしっかり確保しておきましょう。

冷却スプレー・汗拭きシート・日焼け止め等を活用しましょう。
またハンドタオル等でこまめに汗は拭きとるようにしましょう。

最近は色々と便利なアイテムがありますので気になったものは積極的に試してみましょう。
また男性は日焼け止めを使用しない方も比較的いると思いますが、最近の商品はベタベタせず香りもナチュラルなものが多くなりました。ジョギングを趣味にするなら使用することをお勧めします。

経口補水パウダーを活用しましょう。
ランニング中に経口補水液を購入できる場所を見つけるのは難しいですが、パウダーなら負担なく携行できます。コスパも悪くないためお勧めです。

お勧めアイテムのページでも紹介していますが、こちらでも紹介しておきます。
経口補水液を作った時のナトリウム濃度は2パーセントと低めですが飲みやすく、脱水予防として摂取することが多いので愛用しています。3パーセント程度のものもありますのでお好みで選んでください。

最後に

暑い時は走らないというのも一つの方法ですが、最近は暑い期間が長く、夏前から秋まで走れない日が多くなってしまいます。
夏場にジョギングをしていると、涼しくなった時に急に楽に走れるようになります。


四季の変化を感じるのもジョギングの魅力の一つだと思いますので、ぜひ夏とうまく付き合って、無理せず安全にジョギングを楽しみましょう。

タイトルとURLをコピーしました